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スポーツの体罰はなぜ無くならない?指導者が赤裸々に語った理由とは?

 2018/10/11 コラム
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最近いろいろなスポーツで発覚する「体罰」の問題。ニュースでも次々と取り上げられていますよね。

ではスポーツ界においてなぜ体罰はなくならないのでしょうか?

先日、スポーツ少年団の指導者研修会に参加してきました。この研修会でもスポーツと体罰について取り上げ、さまざまなスポーツの指導者とディスカッションを行いました。

スポーツと体罰について指導者が赤裸々に語った言葉とは?

この記事はスポーツ少年団の指導者と、子供を通わせている保護者向けに書いています。ぜひ最後までお付き合いください!

 

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スポーツ指導の体罰や暴力は絶対ダメ!

公益財団法人日本スポーツ協会が発行する「スポーツ指導者のための倫理ガイドライン」にはこうあります。

本宣言は、スポーツ界における暴力行為が大きな社会問題となっている今日、スポーツの意義や価値を再認識するとともに、我が国におけるスポーツ界から暴力行為を根絶するという強固な意志を表明するものである。(抜粋)

スホーツ指導者による体罰や暴力、暴言は絶対にいけない行為です。そしてそのことは多くのスポーツの有力選手も声をそろえています。

 

為末大(陸上)

引用:https://bit.ly/2pUqFlr

部活動とクラブチームと比べ、圧倒的に部活に暴力が多いのは、生徒に辞める選択肢がないから。クラブは市場にあって、嫌ならもっとあう所に行けば良い。部活は学校に付属していて、学校を辞めないと違う部活にいけない。ここが嫌ならこのスポーツを諦めろと迫っている。

 

武井壮(陸上)

引用:https://bit.ly/2Ec87qH

体罰どうする?みたいな議論してっけども。。体罰全面禁止でいいじゃねえか。。体罰しなきゃ指導できねえなら体罰容認の同意取って私塾でも開いてスポーツ指導してろ。。どんな理由だろうがどんな現場だろうがスポーツを楽しむ現場に暴力の必要性なんてねえ。。

 

桑田真澄(野球)

引用:https://bit.ly/2IMzsOJ

「昔は体罰が正しい教育とされたが、今はそういう時代じゃない」と強調。「痛みや恐怖心で根性が付いたと言う人もいるが、体罰が僕を助けてくれたことは一度もない」

 

吉田沙保里(レスリング・五輪金メダリスト)

引用:https://bit.ly/2CcrM70

3歳のときから父栄勝さんの指導を受けて競技を始めており、練習で手を上げられることもあったという。「私はコーチが親という環境でしたが、もちろん殴られることもあった。でも、それは“愛のムチ”だと頭で理解していたから体罰とは思わなかった」

 

スポーツ指導の場面での「体罰」はまぎれもなく「暴力」そのものなのです。

 

体罰が当たり前の時代、でも今の時代は犯罪行為!

私は今40代ですが、少なくとも私の年齢より上の世代で、競技スポーツとして部活に励んでいた人は、ほぼ高い確率で監督やコーチといった指導者から「体罰」の経験があります。

特に優勝を目指すような強豪校やスポーツクラブであるほど「体罰」は横行していました。そして今の時代、その「体罰」の経験がある人たちが指導者の立場にあります。

 

かく言う私も体罰を受けた経験をしています。

 

平成25年8月9日には文部科学省が「体罰根絶に向けた取組の徹底について」という通知を行って、徹底的に体罰をなくそうという動きになっています。現在の考え方では体罰は犯罪行為と言えるのです。

 

引用:https://bit.ly/2NDKlDg

 

今回、日本スポーツ協会が主催した「スポーツ少年団認定員研修会」に参加する機会を得ました。

さまざまな競技から多くの指導者が集まり研修を受けたのですが、その中でも「体罰」をテーマとしてグループディスカッションを行いました。

 

ほぼ同世代から上の世代の指導者が多かったのですが、いろいろと話してみるとご自身は体罰を経験しているものの、指導者のほとんどがいまの時代、体罰は絶対にダメだと認識しています。

しかし「あるテーマ」で議論を堀り下げた結果、おどろきの意見が飛び出したのです。

 

スポーツ少年団のテーマで掘り下げた結果、体罰はダメだが指導は必要!?

研修会の講義の先生から次のテーマで議論するよう宿題が出されました。

 

テーマ:「愛のある体罰なら許されるか?」

 

7~8名ずつグループわけしてディッカッションを行い、あとでグループごとに発表する形式ですすめることになりました。

私たちの班ではバレー、サッカー、バドミントン、剣道の指導者と役所のスポーツ担当の方がいて、さっそくそれぞれ自己紹介を行って、議論スタートです。

 

まずひとりひとりに「体罰」についてどう考えるか聞いてみました。中には「体罰」を行った経験がある指導者もいましたが、現在はまったく行っていないとの事でした。

ほとんど全員が「体罰はダメ!」で一致。しかしテーマは「愛のある体罰なら許されるか?」です。

 

愛のない体罰は絶対にダメだけと、愛のある体罰とは?愛って何?

 

みんな悩み始めました(笑)

 

そこでもう一段掘り下げて次の質問をぶつけてみたのです。

 

「では逆に体罰が必要と思える状況、局面は?」

 

こんな意見が出てきました。

 

  • 指導者のいうことを聞かない子供がいるとき
  • 全体行動の規律を乱す子供がいるとき
  • スポーツ少年団で決めたルールを守らない子供
  • 練習でふざけている子供への指導
  • 指導者にため口を言ってくる子供への指導
  • 練習中に指導者へわざとボールをぶつけてくるとき

 

共通していたのは、「姿勢」「態度」「しつけ」などに対する意見です。スボーツを指導している最中での体罰の必要性を話す指導者は誰ひとりいませんでした。

指導者を軽く見ていたり、練習をなめた態度で参加している子供に対する指導面でなら、「愛のある体罰」なら許せるのでは?という意見になりました。

 

スポーツにおける体罰と指導の違いは?

では体罰と指導の違いは何なのでしょう?

前項の態度や取り組む姿勢がよくない子供たちに対し、どこまでが「体罰」で、どこまでが「指導」なのでしょうか?

まずは「言葉で注意」です。

それでも聞き分けがない時にどうするか?こんな意見が出てきました!

  • 子供と向き合って言い聞かせる
  • 大声でどなりつける
  • 罰としてグラウンドを走らせる
  • 筋トレを言いつける
  • 手でアタマをおさえて言い聞かせる
  • ボールを使ってアタマや背中に軽く押し当てる

 

ほとんどグレーゾーンです。(笑)

もはやどこまでが「体罰」で、どこまでが「指導」なのか線が引けません。

でも指導者の気持ちの奥底にあるのは、子供たちに「競技がうまくなってほしい」「スポーツを通じて人間的に成長してほしい」「周りの人に感謝の気持ちを持って欲しい」こんな思いです。

 

「体罰」は絶対にいけない。その共通認識のもと、指導者たちの苦悩が垣間見えました。

 

スポーツの体罰がなくならない理由とは?

今回の研修会のミーティングを通じて、スポーツの体罰が無くならない理由が見えてきました。

 

  1. カリスマ指導者がいる
  2. 言葉も暴力(体罰)である
  3. 体罰と指導の境界線があいまい

 

ではひとつずつ見ていきましょう

1.カリスマ指導者がいる

これは言わずとも知れていますよね!某大学のアメフト部の元監督のような存在です。絶対的権力を持ち、優勝経験もある、監督には絶対に逆らえない雰囲気を持っている。

こんなカリスマ指導者は気が付かないうちに体罰を行ってしまっているケースが多いです。だいたい選手と監督がまともに話もできない部なんてありえないですね。

指導者のあなたに問います。「カリスマ的存在」になっていませんか?

 

2.言葉も暴力(体罰)である

じつは言葉の暴力も多いと思います。その理由は指導者が言葉を暴力と思っていない、これくらいはいいだろうと勝手に判断して使っているケースです。

  • ばかやろう!何やってんだ!ボケが!
  • 俺(監督)の言う通りにすればいいんだ!
  • おまえは試合では絶対に使わない
  • ヤル気あるのか?もう練習に来なくていい
  • ・・・・・・・(無視)

これは研修会のディスカッションでも紹介しましたが、指導者の感覚によって千差万別だということが分かりました。

中には手を上げたりボールをぶつけたりすることは体罰、言葉による叱責(しっせき)は体罰ではないと考える指導者もいました。

 

大切なことは、その言葉を聞いた子供がどう感じるかです。恐怖や不安、威圧されたと感じた時点ですでに体罰です。

指導者のあなた、心当たりはありませんか?

 

3.体罰と指導の境界線があいまい

これも線引きが本当にあいまいです。繰り返しますが、指導者の感覚ひとつです。

例えば、手を上げたりするのは体罰なので絶対にいけないが、子供たちを鼓舞(こぶ)する意味で、あたまや背中を軽くたたいたり、ボールなどでボディに押し付けたりする行為は許されるのか?

 

本当に指導者によってまちまちですね。

結局、スポーツにおける体罰がなくならないのは、はっきりしないことが原因です。逆に言うと、はっきりと線引きができないから体罰もなくならないと言えます。

スポーツと体罰の問題は本当に根深いです。

 

スポーツ少年団の指導者から一言いわせて!

今回のディスカッションで、ある指導者の方が話されていたのですが、子供のしつけの目的でスポーツ少年団に入団させた保護者もいるとのこと。

家庭でなかなか親の言うことを聞かないので、スポーツ少年団という組織の中で規律ある生活をさせたいという理由だそうです。

 

確かにそれもありでしょう。

 

私もこれまで多くの子供たちを見てきましたが、自由奔放に育ててきた保護者さんもおられます。

スポーツの指導は私たち指導者がしますが、子供のしつけは家庭(保護者)でもしてほしいと思います。

 

ハッキリ言って子を見れば親のしつけもわかります。子供がかわいいのは当然ですが、スポーツを習いに来ている訳なので、逆にこれを利用して子育てに生かしてもらえたらなと思います。

 

まとめ!体罰を未然に防ぐには?

いかがでしたでしょうか?

スポーツ少年団の指導者の体罰に関する意識や、考え方を「研修会」での経験をもとにお話ししました。

指導者のあなたには、体罰や教える苦悩の面での情報としてお役に立てたらうれしいです。そしてスポーツ少年団に子供を通わせる保護者の方には、指導者の体罰に関する考え方やその思いについて紹介しました。

 

ただ誤解をしてほしくないのは、今回あくまで「指導者研修会」で経験した内容なので、体罰についてさまざまな意見があるということです。私の書いた記事に反論もあると思います。

しかし何よりも大切なのが指導者が「これは体罰でない」と思って行った行為が、受ける側がストレスを感じてしまうと体罰になりうる危険性が高いことです。

今回の研修会を通じて強く感じたことは、スポーツの指導者と保護者がつねにコミュニケーションを取れる関係を築くことが体罰を未然に防ぐことのできる強力な方法なのだと痛感させられました。

 

ぜひ参考にしていただければと思います。

 

鎌田 聡
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鎌田 聡

鎌田 聡

スポーツ少年団指導歴18年、現在は約90名の複合型スポーツ少年団の事務局長を務めています。またスポーツ推進委員歴10年の経験をいかし、主にバレーボール関連のスポーツライターに。自身もバレーボール歴34年の経験を持ち、バレーボール全般に精通。常に読者目線でバレーボールに関する情報を発信するよう心掛けています。読者の皆さんとともにブログを作っていきたいので、質問やコメントなどドシドシください!お待ちしておりま~す!

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