男子バレーの一流監督に聞いてみた!試合に勝つための戦術とコーチングとは?
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バレーボールの監督やコーチをしていると、トップチームの監督は勝つためにどんな指導をしているのか知りたいと思いませんか?
トップチームの戦術や勝つためのコーチングを学んで、自分のチームに指導できたら、もっとチーム力が上がるよなぁ。
選手に指導する立場なら当然そう思いますよね。
そこで関東大学1部の某〇〇大学の監督に聞いてきました!試合に勝つための戦術とコーチングの方法を紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!
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Contents
トップチームの選手の集め方は?
入部を希望しても入れない?
関東大学1部のバレーとは日本国内の大学リーグでもトップのレベルであり、活躍した選手の多くが日本最高峰のVプレミアリーグに所属しているチームへ進みます。
現在チーム数は12チーム。春と秋のリーグ戦で優勝を争う一方、1部に残留をかけた最下位の争いも激しい戦いです。
そんな激戦区である関東大学1部リーグの常連校では、どんな選手の集め方をしているのでしょうか?
春高バレーやインターハイの常連校、あるいは全国大会出場経験者などレベルの高い選手が入部を希望しますが、実はレベルが高いゆえに「バレー部に入りたくても入れない狭き門」なのです。
関東1部大学バレー部に入部する条件とは?
選手の選考は基本的にその大学バレー部の監督さんが、チームの補強ポイントの選手にオファーします。
長身のミドルプレーヤー、攻撃力の高いオポジット、レシーブの良いサイドアタッカー、ほかにも守備のスペシャリストであるリベロ、ピンチサーバーなどチームの補強ポイントはたくさんあります。
しかも必要なのは選手だけではありません。
選手のほかにもデータを集めて分析を行うアナリスト、トレーナー、学連の仕事など大学バレーの仕事は多岐にわたるのです。
基本的には各大学も人数枠があり、その枠内で選手の選考が行われます。より高いレベルの練習を行うために少数精鋭の人選となっているのですね。
監督の仕事!まずは選手の観察から
バレーボール歴の背景をみる
その選手がどんなバレーボール歴をもっているか、その背景をみるそうです。
例えば、
- 高校時代はエースアタッカー
- キャプテンを務めた
- スーパーリベロ
- 高校はバレー強豪校
- 全国大会出場の有無
関東1部の大学バレーに集まってくる選手は、高校でもかなり活躍した選手が多いです。そのためにプライドの高い選手も多く、プライドが邪魔をしてうまくチームに溶け込めないこともあるとのこと。
所属した高校ではトップクラスでも、実力が伯仲する大学バレーの中で、過去に持っていた「いらないプライド」を捨てられるか、バレーボールに向き合う姿勢を見ているようです。
選手の性格を把握する
監督が話していたのは、選手の性格を把握するために「選手を観察する」そうです。
- あいさつの仕方
- 常日頃の言動
- 監督・コーチへの態度
- 先輩との上下関係
- 同学年との関係
- 反省文の提出
- コミュニケーション力
- 会話力
- うそをつくか
これらのことから選手の性格を把握して、チームの目標を達成するために指導していくと話していました。
関東1部大学バレーでのお話でしたが、聞いていた私の印象は「会社と同じなんだな」と感じました。
これから就職して社会に出ていく大学生に、バレーボールの指導を通じて世の中の仕組みを教えている、そんな印象を受けました。
試合に勝つための戦術とコーチング
チームの目標と方針を浸透させる
やはり試合に勝つためにはチームの方針をしっかり立てて、部員がそろって目標達成の意識をひとつにすることが大切とのことです。
目標の例えとして「大学四冠」。大学バレーの4つの大会(関東1部春リーグ、秋リーグ、東日本インカレ、全日本インカレ)完全制覇ですね。
簡単に達成できる目標ではありませんので、そのために部員それぞれがどんな考えをもってバレーボールに取り組むのか、そして行動していくのか問われるのるのです。
トップチームでも基本はパス
練習の内容を聞いて驚いたのが、「基本はパス」です。
私のイメージだと大学トップクラスの練習なので、レベルの高い技術指導やデータ分析によるチーム戦術なと、高いレベルの練習を想像していました。
しかし監督いわく、入部した選手をみていると「パスが下手。基本ができていない」だそうです。
「ええ~っ!高校でトップの選手ですよ!?」
私は思わす聞きました。
「スパイクを打たせたらすごい選手はやまほどいる。でもパスができない選手が多いんだ。おそらくキチンと教えてもらえなかったのだろうね。でも大丈夫。入部したらキッチリできるように指導しますから。」
なるほど~と思いました。
そして合宿やオフシーズン(大会や試合がない期間)にはみっちりと基本練習(オーバーパスやアンダーパス)に重点をおき、繰り返し反復練習をしているそうです。
大学の高いレベルでもやはり基本練習はとても大切なんだなあと実感させられました。逆に言えば、高いベルだからこそ基本は確実にできて当たり前、しっかり練習しなさいということなのですね。
あらためて基本練習の大切さがわかりました。
自主練習を率先してする選手はチームから信頼を得る
当然チームの目標を達成するために、全体を通して練習します。しかし、監督が選手それぞれに求める能力は一定ではありません。
監督の指示をよく理解している選手は、全体の練習のなかで求められる水準に足りないと感じている場合、よく自主練習を率先してしているそうです。
監督は自主練習は選手に課していません。文字通りあくまで「自分が主となり練習」しているのですね。
全体練習のみで練習を終える選手もいる中、自主練習をよくする選手は周りの選手もよく見ています。公式試合でベンチに入れるメンバーは限られており、そのメンバー選考は監督の仕事です。
しかしなかには選手の方から「〇〇はよく練習しているので今回ベンチメンバーに入れてください!」と直訴される場合もあるそうです。
よく練習する選手は周りからの信頼も厚い!
やはりトップの選手とは、「できるからすごい!」ではなく「できるようになるまで練習する」からこそ、レベルの高い選手になるのですね!
試合に勝つために必要!監督がこだわった勝負のカギとは?
カギはセッターとリベロ
監督によると、チームのカギはセッターとリベロだそうです。なぜならリベロは守備のかなめであり、セッターは司令塔だからです。
リベロが安定したレシーブを上げることになり、セッターは攻撃の選択肢が増えます。攻撃の選択肢が増えれば、アタッカーに対する相手ブロックの完成度も低くなり、点が取りやすくなるからです。
従ってリベロには高いが守備力が求められるだけでなく、チームのレシーブ全体の統率をとる指導も行っているようです。
やりやすいメンバーでは結果がでない
レギュラーのメンバーにも相性がありあます。セッターとアタッカーのコンビネーションだったり、チーム全体の雰囲気だったり、いろいろあります。
しかし長くメンバーを組んだとか慣れ親しんだとか、「やりやすさ」をメインにメンバーをえらんでしまうと結果がでにくいそうです。
そのために必要なのが、「チームが勝つための采配」です。
チームが勝つためにはリスクと戦術をしっかり取ることが大切とのこと。次の章で紹介します。
リスクと戦術をしっかり取る
メンバーを試合で使うにはメリット・デメリットを承知の上で使うそうです。
例えば長身で、アタックの攻撃力が強い選手と、背はあまり高くないけれどレシーブ力か抜群な選手。
身長の大きい選手は攻撃力もあり、ブロックも高い。これが最大のメリットだが反面、レシーブ力が弱く失点しやすいデメリットもあります。
セッターでも挙げてみます。
長身のセッターは高い位置でボールを捉えることができてブロックも高い。
しかし、長身であるがゆえにボールの下にはいるのが遅く、サイドアタッカーへのオープン攻撃が多くなる。つまり相手ブロックがつきやすく、味方アタッカーの負担が大きくなる。
身長があまり高くないセッターならブロックも低いが、小柄ゆえにボールの下に早く入り、クイックを含めた攻撃が多彩になる。そのため相手ブロックもつきにくく、味方アタッカーの攻撃力も高くなる。
バレーボールはリズムと流れのスポーツです。相手チームのカラーや試合経過によって、戦況がコロコロ入れ替わるのです。試合の流れを引き寄せるために監督はさまざまな選手の起用を考えつかいます。
そして勝つためには、選手の個性を最大限だすこと。
結果の責任はリスクと戦術を選んだ監督が全て背負うと話していました。
アナリストのデータを最大限活用する
アナリストの仕事は素晴らしく、上がってくる膨大なデータの解析は信頼性も高いそうです。
しかし、結果がでない。
そんな時、監督は言います。「アナリストのデータ通りに選手が動かない」
せっかくアナリストが苦労して相手チームのデータと戦術を見つけてくれてミーティングもしっかりと行ったのに、選手がデータ通り動かないのでは意味がない。
負けた試合の後に話してくれました。逆に負けた結果だったからこそ、そのような分析をされたのかとも思いました。
やはり大学のトップチームになるとアナリストの力もチームの勝敗に大きく関わってくるんだなと、とても実感しました。
選手に質問することが大切
監督が指示する内容を選手がキチンと理解しているか、プレーに表れていないときに監督が取る行動は何でしょう?
それは「選手に質問すること」だそうです。
私のイメージでは監督のゲーム運びと選手のプレーに大きく異なる点がある場合、例えばタイムを取って監督が指示を出すと考えていました。
しかし監督は、一方的な指示では選手が理解しているかどうかわからない。やはり質問をして、その答えにより理解度がはかられるのだということです。
ひとつのプレーに対し、監督の意向と異なる動きがあった時、質問をするそうです。
「いまのプレーは、どんな理由でしたのか?」
「そのプレーはチームの勝利に貢献するものなのか?」
一方的な指示よりも質問することで、より理解度が高まりチーム全員の意識をひとつにしていくのです。
絶対にしてはいけない指導方法とは?
- チームの目標・指導方針を持っていない
- トップアスリートへの指導ができない
- オレがオレがというワンマンな指導法
- 選手とのコミュニケーション力が足りない
当たり前の話ですが、チームの目標やミッション・ビジョンを持っていなければ、指導者として失格ですし、トップアスリートへの指導もできないだろうと思います。
また指導者がワンマンで、「俺の指示通り動け」という強引な指導も一方通行で結果には結びつかないでしょう。
そして大切なことは、「選手とのコミュニケーション」です。よく選手の話を聞き、よく会話することで意思の疎通をはかり、チームを勝利へ導いていきます。
私もこのことには十分注意して指導していきたいですね。
監督の名言集!なるほどなーっと納得したその言葉とは?
監督のお話を聞いていて、私が心に残った言葉を紹介します。
すごいアタッカーはいくらでもいる
バレーボールの魅力のひとつはアタックやスパイクなどの攻撃です。攻撃をすることで点数が入り、勝負を決します。すごいアタックが相手コートに決まるとスカッとしますし見ごたえも感じます。
そんな花形でもあるアタックですが、監督いわく入部してくる選手をみていると、アタックだけみていたら全日本クラスの選手はいくらでもいるそうです。
しかしバレーボールはアタックだけではありません。レシーブだったりサーブ、そして何より状況判断ですね。バレーボールはリズムと流れのスポーツなので、プレー中の一瞬の判断が勝敗を分けます。
大切なのは「チームに貢献する」ということ。そしてチームに貢献するために今自分は何をすればいいのか考えること。すごいアタックを打ててもそれだけではダメということです。
自己犠牲の気持ちがあるとトップアスリートになれない
これも面白いなと感じました。
自分をおさえて仲間を生かす、そんなプレーはチームが勝つためにも当たり前にあるので驚きました。ところが監督が話しているのは、「自分のカラー(ストロングポイント)を出し切れ」という意味だったのです。
要はカラーを消してまで仲間を生かすより、自分のストロングポイントを生かしてチームに貢献せよということですね。
なるほど。トップアスリートは常に自分の力を信じてプレーしています。
ケガをするのは選手の不注意である
これも目からウロコが落ちる言葉でした。ケガをしたくてする選手はいません。
ケガは不慮の事故だと思っていました。しかし監督に言わせると、ケガは本人の不注意が原因とのこと。できる選手はケガしない!と話していました。
たしかにメジャーのイチロー選手とか、一流の選手になると大きなケガをしたということはあまり聞きません。
ケガをしないための体調管理もトップアスリートの条件なのでしょうね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
大学1部の監督が、ふだんどんな考えで選手を指導しているのか聞いてみました。
全体を通して感じたことは、監督はチームの勝利を最優先にしながら常に選手の成長を1番に考えているということです。
監督の指導を理解して、それに気づいた選手は短期間で驚がくの成長を遂げるそうです。
なかなか開花しなかった選手が、監督の指導を理解して、自分で考え行動したことにより、Vプレミアリーグのチームからオファーがきて活躍している選手もいるという話も聞きました。
最後に監督は「バレーボールという競技を通じ、人間として成長できれば、こんな素晴らしいことはない」と話されていました。
わたし自身もいろいろなお話を伺って、たいへん参考になりました。今回の貴重な経験を指導の方にも生かしていきたいと思います。
この記事から、あなたの指導にも取り入れていただくことが少しでもあるならば本当にうれしいです。
では最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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